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カスデッチTシャツ　Kids ヘザーブラック

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「入口と出口」

駅を降りてタクシーに乗り込む。料理店の名前を告げると運転手は返事をすることなく無線で交信をしながら交差点を右折する。しばらくするとこの地のタクシー独特の匂いが、冷たいクーラーの空気と共にたちこめる。あーこの匂いだ、帰ってきた、と思う。ビニールレザーの硬いシートと白いシートカバーが冷たい。
父の実家である料理店は川の向こう側だ。昭和17年に建造された5連アーチのRCローゼ桁橋は幅が狭く、紡績工場の形の違う三本の煙突から出る煙を見ながら対向車スレスレで渡りきると、バス停の前でタクシーが停まる。

ただタクシーに2キロ乗っただけの何十年も前の記憶。山口線を94キロ特急に乗ってきたはずだし、山陽本線との分岐駅までは661キロ新幹線に乗ってきたはずだ。その道程の記憶はほとんどない。
幼児の頃が中心の思い出だと思う。

小学生になり車で帰省するようになっても、このアーチ橋は記憶の中心だ。夜中に出発する僕たちを祖母が見送ってくれたのもこの橋のたもとだった。

人も街も、変わっていく。変わらないことは、何だろう。
ロゴのアーチは、橋のカタチ。ヘザーブラック。